認定補聴器技能者のブログ『補聴器通信』 補聴器の故障について① 東武百貨店5階 補聴器さろん
2024.7.8 池袋東武店, 補聴器通信, 補聴器, コラム
東武百貨店池袋店5階10番地 補聴器さろんの豊川です。いつも当店をご愛顧いただき、ありがとうございます。
こちらのコラム『補聴器通信』では、イベント情報とは別に、聞こえや補聴器のお役立ち情報を配信いたします。
不定期ですが是非お読みください。
補聴器の故障①
湿度もじわじわと高くなり、それ以上に日中の気温が高くなる日が続いています。
毎年この時期は補聴器の故障が増える時期になっています。
補聴器の故障の原因には何が考えられるでしょうか。
①使用環境による故障
家事や仕事の最中に濡れた手で補聴器を触ることがあります。そもそも湿気の多い場所で使用することが多い等、補聴器内部に湿気が溜まることで故障の原因となります。
②汗による故障
特に耳かけ型補聴器に関しては、汗が補聴器内部に流れ込むことによって内部部品の腐食等を引き起こすことがあります。
③結露による故障
冬になると室内と外の温度差によって窓に水滴がつくことがあります。(結露)
これと同じように補聴器の中で結露が起きると動作不良となることがあります。
④耳垢つまりによる故障
骨伝導式補聴器を除く補聴器は、何らかの部品を耳穴へ挿入する必要があります。
耳垢は通常は自然排泄されますが、排泄口を塞いでしまうため挿入するパーツ(耳栓、補聴器本体)に耳垢が付着し溜まっていきます。最終的に音が出る穴(音孔)をふさいでしまい、音が弱くなる、音が鳴らない等の症状が出ます。最も多い故障で当店では「補聴器が壊れてしまった」と持ち込みされる方の半数以上がこのパターンです。
普段のお手入れや定期的なパーツ交換で改善することが多く、比較的軽微な故障と言えます。
⑤劣化による故障
補聴器の保証期間は2~3年が通常となっており、それを経過すると内部部品の劣化によって故障が出る可能性が高くなってきます。保証期間中に故障することもありますし、保証期間経過後も問題なく数年使い続けられることもあります。日常的な取扱い、使用環境等、様々な要素があります。
簡単に5つ補聴器の故障の原因についてお話しさせていただきました。
①~③については、全て湿気がらみの故障となります。③も解説には冬と書きましたが、エアコンの設定温度が低い部屋から外出する時なども状況としては同じです。
汗をかきやすい、湿度の高い夏場に補聴器の故障が増えるのはこういった部分が大きいです。
補聴器の構造
耳掛け型補聴器
音を拾うマイク部分には穴が開いており、外部の音を取り入れるようになっています。
防水加工はしてありますが、この部分から汗等の湿気が入り込み故障の原因になります。
電池式補聴器の場合、バッテリーも素手で触ることがあり、バッテリーに手の脂や水分が付着、外部からゴミや埃が入り込むことで故障の原因になります。
RIC型補聴器の場合、劣化によってワイヤー(レシーバー)部分が硬化、断線といった症状も多い故障の1つです。
耳穴型補聴器
マイクロフォンが耳の一番外側に露出します。
耳の穴はほとんど発汗しないので、耳かけ型に比べるとリスクは少ないですが、頭部からの汗が流れ込む可能性はあります。
耳掛け型と同じく防水加工はされていますが、耳掛け型に比べると防水力が弱い傾向にあります。
(耳掛け型がIP68(防塵、防水の国際規格、最高級)に対し、耳穴型はIP57とワンランク下が多い)
取り出し用テグスの破損も聞こえには直接関わりありませんが、多い故障の1つです。
まとめ
補聴器の故障には様々なケースがありますが、一般的に多いのは汗・湿気による故障です。
補聴器は精密機械ですので、以前に比べて防水性能が高くなったとはいえ、長時間湿気にさらされている環境で使用すると故障の原因になります。
昨日までは何ともなかったのに、今朝から急に調子が悪いといったことも起こり得ます。
次回は補聴器の湿気対策についてお話しさせていただきます。