認定補聴器技能者のブログ『補聴器通信』 補聴器の防水・防塵性能② 東武百貨店5階 補聴器さろん
2024.7.31 池袋東武店, 補聴器通信, 補聴器, コラム
東武百貨店池袋店5階10番地 補聴器さろんの豊川です。いつも当店をご愛顧いただき、ありがとうございます。
こちらのコラム『補聴器通信』では、イベント情報とは別に、聞こえや補聴器のお役立ち情報を配信いたします。
不定期ですが是非お読みください。
補聴器の防水・防塵性能②
前回は一般的な製品における防水・防塵性能についてお話しさせていただきました。
今回は補聴器の防水・防塵性能についてもう少し細かくお話しさせていただきます。
補聴器の防水・防塵性能
補聴器は「IP57」もしくは「IP68」といった防水・防塵性能を持つものがほとんどですが、この防水・防塵性能は補聴器本体のみの性能であり、その他の部分は防水・防塵ではありません。
耳掛け型補聴器の場合①
ベージュの本体に接続されているイヤフック、チューブ、耳栓は防水になっていません。
ここに水分が入り、結露してしまうことで音が変化したり鳴らなくなってしまうことがあります。
チューブ、耳栓の結露を改善すれば通常に使用できるため、比較的簡易に直すことができます。
耳掛け型補聴器の場合②
シルバーの本体に接続されている細いコードをレシーバーと言います。
先端部分が音を出すスピーカーになっており、鼓膜に近いところで音が聞こえるのが利点ですが、このレシーバーも防水にはなっておりません。
水分による結露や動作不良があった場合、交換となりますが前述のチューブとは違いスピーカーになっておりません。
水分による結露や動作不良があった場合、交換となりますが、前述のチューブタイプとは違いスピーカーになっているので、交換費用として11,000円~33,000円程度の費用がかかります。
完全防水 補聴器の紹介
補聴器の中でも特に防水性能に優れた補聴器を紹介します。
オーデオ ライフ シリーズ
スイスの世界トップシェアのメーカー、Phonak(フォナック)から販売されているシリーズになります。
パラダイスシリーズとより高性能なルミティシリーズの2種類のラインナップになります。
完全防水は水深50cmまでとなっていますが、水や湿気から補聴器内部を保護するコーティング、水圧を受けにくいマイクロホン、非接触型の充電にすることで錆びるパーツの排除と様々な工夫がされています。
Phonak(フォナック) 独自のテスト
前回の内容で、防水性能は等級が上がるほど高くなりますが、8等級に関しては「7等級よりも厳しい環境で試験すること」としか定められていなく、また等級は真水で行うためプール等の真水で無い環境は危険を伴う可能性があります、とお話ししましたが、オーデオ ライフ シリーズは独自の厳しい条件でテストを行っています。
●塩水・プール水でのテスト
5年間、週2回水泳を行った場合のシュミレーション。
●汗(合成)
5年間、週2回のトレーニングを行った場合のシュミレーション。
真水以外での性能実験を行い、従来のIP68を超える防水性能を獲得しています。
汗をかきやすい方、プールでのトレーニングをしながら会話を楽しみたい方にも安心してご使用いただける補聴器です。
まとめ
現在の補聴器は多少の水濡れくらいでは動作に支障が無い仕様になっていますが、長時間の浸水や勢いの強い流水、汗や他の成分を含んだ水等には完全とはいえない防水性能となっています。
補聴器の使用後は乾いた布で拭き、乾燥ケースに入れるなど日ごろのお手入れで故障を予防することもできますので、毎日のケア、販売店での定期的な点検をお勧めします。
次回はこのシリーズの最終となりますが、「もし補聴器を濡らしてしまったら、どうしたらいいか?」という対策についてお知らせいたします。