認定補聴器技能者のブログ『補聴器通信』 聞こえの測定② 東武百貨店5階 補聴器さろん

2025.6.19 池袋東武店, 補聴器通信, 補聴器, コラム

東武百貨店池袋店5階10番地 補聴器さろんの豊川です。いつも当店をご愛顧いただき、ありがとうございます。
こちらのコラム『補聴器通信』では、イベント情報とは別に、聞こえや補聴器のお役立ち情報を配信いたします。
不定期ですが是非お読みください。
聞こえの測定②
前回はオージオグラムの見方、読み方についてお話しをさせていただきました。
今回はどの程度のレベルであれば補聴器の装用を検討するのかという点について、詳しくお話しさせていただきます。
平均聴力レベル
補聴器の装用を検討するにあたり、指針の1つになるのが平均聴力レベルです。
昨今、補聴器を購入するにあたり助成の制度が整い始めています。
助成を受ける際に、聴力レベルが中等度難聴以下、〇〇㏈以下等の条件がある場合があります。
また、平均聴力レベルが一定程度を超えた場合、聴覚障碍者にあたり、障碍者手帳の交付を受けることができます。

平均聴力レベルの求め方
平均聴力レベルの求め方にはいくつかの方法があります。
それぞれの求め方について上記のオージオグラムを元に説明いたします。
・3分法
500Hz、1000Hz、2000Hzの聴力レベルを足し3で割ったもの。
右耳:500Hz 30㏈ + 1000Hz 40㏈ + 2000Hz 50㏈ = 120㏈
120㏈÷3=40㏈ 平均聴力40㏈
左耳: 500Hz 40㏈ + 1000Hz 45㏈ + 2000Hz 60㏈ = 145㏈
145÷3=48.3㏈ 平均聴力48.3㏈
・4分法①
500Hz、1000Hz、2000Hz 、4000Hzの聴力レベルを足して4で割ったもの。
上記のオージオグラムの場合、
右耳:500Hz 30㏈ + 1000Hz 40㏈ + 2000Hz 50㏈ + 4000Hz 60㏈ = 180㏈
180㏈÷4=45㏈ 平均聴力45㏈
左耳: 500Hz 40㏈ + 1000Hz 45㏈ + 2000Hz 60㏈ + 4000Hz 65㏈ = 210㏈
210㏈÷4=52.5㏈ 平均聴力52.5㏈
・4分法②
500Hz、1000Hz×2、2000Hz 、の聴力レベルを足して4で割ったもの。
右耳:500Hz 30㏈ + 1000Hz 40㏈×2(80㏈) + 2000Hz 50㏈ = 160㏈
160㏈÷4=40㏈ 平均聴力40㏈
左耳: 500Hz 40㏈ + 1000Hz 45㏈×2(90㏈) + 2000Hz 60㏈ = 190㏈
190㏈÷4=47.5㏈ 平均聴力47.5㏈
この他に8000Hzの聴力レベルを更に足して計算した6分法もあります。
このように同じ方での聴力でも計算の仕方によって、平均聴力に差が出ます。
3分法が世界的に見ても標準とされていますが、日本では4分法での聴力レベルで評価するのが一般的です。
(障害者総合支援法等)
6分法については労働者災害補償等の場合の対象となります。
聴力レベルと聞こえ方
聴力レベルに対しての聞こえ方の目安については以下の表になります。
平均で判断するため、どこか1か所の聴力が下記の聴力レベルを超えてもすぐに相当の難聴と判断されるわけではありません。

判断の目安
①聴力レベル40㏈(中等度難聴以上)
会社や学校での健康診断の際に再検査になるのは、40㏈の音が聞こえていない方です。
日常的な会話に不便さを感じるようになってくる方が多く、補聴器の装用を検討していくレベルです。
②聴力レベル70㏈(高度難聴以上)
聴覚障碍者相当の聴力レベルになります。一般的に補聴器を使用しないと生活が困難と判断されるレベルです。
※聴覚障碍者の認定には他にも各種検査が必要となります。
軽度難聴の方が補聴器を必要としないというわけではありません。必要に応じて装用は要検討となります。
まとめ
平均聴力が70㏈を超える高度難聴者は補聴器の装用が必須となります。
実際には軽度~中等度難聴の方が多く、補聴器をする、しないの判断は医療機関の推薦や個人の判断に委ねられます。
今回までは「音がどれだけ聞こえるか?」という測定についてお話しさせていただきましたが、次回は「言葉の聞き取り」の測定についてお話しさせていただきます。